プロローグ

 命あるものが目を覚ます。
 世界は全ての魂を抱く。
 永久なる流れを信じ、失うことのない光に身をゆだねる。

 闇は無い。
 有るのは見渡す限りの光のみ。

 世界は微笑んでいた。
 柱は世界を愛していた。

 その日までは。


 闇は無いわけではなかったのだ。
 姿を隠し、時を待つ。

 それができただけで。

 柱は闇を見通す。
 焦がれる思いを世界ではなく星に向けた。

 世界は光のみの不変の世界を望まず。
 新たなものを求む。


 柱と世界の望みは同じ。

 馬鹿で
 勝手で
 愚かな

 けれど顔を背けることはできずに。


 柱は必要なモノをそろえ
 世界の壁が消えた。


 あの時。
 世界の柱は砕け、世界は闇を手に入れた。

 全てが闇へと身を落とす。
 命あるものは影に呑まれ、偽りの夢を見る。

 世界と偽りは歓喜する。
 ようやく手に入れた闇に歓喜する。

 砕け消え逝く柱は何の力も持たず。
 柱の力を与えられし星々のみが光の残滓を受け煌く。


 柱は懺悔した。

 馬鹿で
 勝手で
 愚かだった自らの思い。

 それを懺悔した。

 けれど、と柱は思う。
 追ってきた淡い光を抱き、共に闇へと沈みながら。

 後悔はしていない。
 ただ、巻き込んでしまった全てに謝罪したい。

 これから光を求めることになるであろう世界へも。


 闇に沈み消える意識の中。

 柱は願い、呼びかける。




 “星々よ、光を手中に収めよ。
  さればそなたは恒星となるであろう──…。”