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写真 「何故私まで」 不満そうに西月が声を上げた。俺は手の中にある機械をいじりるのをやめて、西月を見る。 「俺だけ撮って送るなんて不公平だろ?」 「巻き添えですか」 「俺一人で撮って送るなんてやだからな!!」 「はいはい。わかりました。早くしてくださいね」 「言われなくてもわかってるよ!」 ため息を着いた西月に言い返す。ため息をついた姿もなんかさまになってて、羨ましい。 右目にかけられた片眼鏡に深緑ががかった黒髪。まとった紺の着物はいつも着ているもので、いかにもなじんでます! って感じに着こなされてる。 一方俺はというと、染めた金髪に普段着てない着物のせいで、かなりミスマッチ。絶対似合ってないって自信がある。例え似合ってたって、嬉しくないし。なんか着物ってやだ。必要なとき以外着たくない。西月のかわりに店番するときとか。 で、なんで今着てるかっていうと、西月がここに居る以上、店番のためじゃないことは分かると思う。ってか前店番してて失敗したせいで、ちゃんと商品のこと分かるまで店番させません! って言われてるし。 俺が着物を着てる理由ってのは手の中の機械にある。目の前にはこれを置くのにおあつらえ向きの台。タイマーセットして、この台の上において、着物姿の俺と西月を写真に収めましょうってわけ。要するにこれ、カメラね。 「裕樹。早くしてください。お客さんが来る前に撮るんでしょう?」 「わかってるって」 西月にせかされて、タイマーをセットする。……実はニ三回失敗してたりするんだよな。だって、着物って歩きづらくてすそ踏んでこけたり、間に合わなかったりでさぁ。 でも今回は間に合った。ちゃんと口元に笑みを浮かべてポーズをとった状態でシャッター音。自分で言うのもなんだけど、嫌々言ってたわりにしっかりした写真撮ったよな、俺。 「終わりましたね」 「おう。あとは現像して親父に送るだけだな。……西月送れよ」 「わかってますよ」 くすりと西月が笑う。や! だって俺が差出人で送ったら、俺が送りたかったみたいじゃんか! 「はいはい。言わなくていいですから。そんなに赤くならないでください」 「赤くなんかなってないっ! 元はといえばお前が親父に送るっていわなきゃ」 「あ、店番に戻らないと」 「西月っ!!」 上手くはぐらかして、西月は店のほうに行ってしまった。 俺はぽつんと一人取り残されて、今日は少し暑いな、なんてこと思いながら、多分赤い顔のまま部屋に戻ったのだった。 もちろん、即効で着替えたからな!! こんなのクラスの誰かに見られるなんてごめんだっ!! ……でも親父は別。あんまり会えてないからさ。子どもの成長、見たいのが親心って西月も言ってたし。一人じゃ恥ずかしいから西月巻き込んだけど。 なんだかんだで親父、俺の七五三見てないし。これはその代わりってことで。ま、よろしく。 裕樹17歳。 |
