1. INDEX >
  2. SS >

一日目
二日目

ただ純粋に信じていた
彼女が目覚めることを
奴の残した薬を

それでも念のために、と調べながら
ただ純粋に信じていた


三日目

知らせに行った
残された馬鹿な手紙のあて先
その相手に、レイのことを
伝えないわけにも行かないだろうと
……もう一人にも、伝えられれば良かったのだけれど

伝えに行けばラングさんはすぐに心配して
お見舞いに飛び出していった
俺のことは置いて

マスターへ伝えてから帰ろうと酒場へ出たらカルマが居た
帰ろうと思っているうちに人が集まってきて
レイのことを話して──皆、信じてくれた
励ましてくれた

お見舞いに、来てくれるとも言う
嬉しかった

ほら、レイ
皆お前を待っているよ

みんなが、待っているよ



四日目
五日目

仕事へ出た
長い間休むわけにも行かないだろうと

俺が居ない間に色々な人がお見舞いに来てくれた
ダエグがレイの側に着いていてくれた
カルマも来た
リリムも支えてくれた
ラングさんは、何回も

でも、まだ
まだレイは、目覚めない


六日目

気がつけば朝だった
飛び起きてレイを見た
まだ目は覚まさない

何日、このままでいただろうか

握る手は冷たく
呼吸も鼓動も感じられない

夢を、見た
彼女の目が覚める夢だった
そうして、幸せそうに笑う、夢──……

夢、だ


「……レイ」
名を呼んだ
けれど目は覚めない

彼女の手を握ったまま、俯く
その手に、涙が落ちる



一日待った
二日待った

心の底から信じていた。目覚めることを純粋に待っていた
でもまだ目は覚めない
さあ、不安が芽吹く


三日待った
四日待った
五日待った

皆に励まされた
もっと信じて。みんなで信じて
でもまだ目覚めない
ああ、不安が育っていく


そして、とうとう六日
まだ、彼女は目覚めない

冷たい手
開かない瞼

声は発せられず
呼吸もなく
鼓動もない



信じ続けるのはこんなにも、辛い
不安は広がっていく
それを押し隠して、信じて



だけど
一度涙がこぼれれば、もう


目を開けてくれるだろうか
居ない間に、体が崩れたりしないだろうか

そもそも、これが全部幻で
もうレイが死んでいるのではないだろうか

──本当に、目は覚めるんだろうか



覚めないんだとしたらどうする?
否、覚めるはずだ
本当に死んでいるとしたらどうする?
否、そんなことはないはずだ

そう、だろう?



体が動かない
側から離れられない
何も食べたくない
飲みたくない

動けない

プツン、と
何かが切れて、不安があふれ出す

皆信じてくれているのに
自分が一番、信じることを止めてはいけないのに



ページの先頭へ