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──学院・入口──

ユーン:(少し緊張した面持ちで見上げる)……ここ、か(小さく呟いて)

 周りにも同じような人がおり、入学試験を受けに来た人達であるとわかる。
 入口には会場を示す看板が置かれている。

ユーン:……(その看板を確認し、進もうとして)

 キイイイイイッ! 甲高い音と共に馬車が入口に止まった。

ユーン:(ビックリしてそちらを見る。周りにいる人々も同じようだ)な、なんだ?
少年:(馬車から引っ張り出されつつ)くっそ、放しやがれ! オレは試験なんか受けねぇっていってるだろーが!!(暴れている)
執事?:いけません! 旦那様はお坊ちゃまには学院の教育が必要であると──(もめている)
ユーン:……(瞬きをして見ていたが、我に返って歩き出す「……貴族は、ホント大変だなぁ」)

──学院・入学試験会場──

ユーン:(「受験証を出して、あとは鉛筆と消しゴム……」順番にテーブルの上へ出す)

 大きな部屋の中には、たくさんの受験者がテーブルについている。
 ほとんどの人が洒落た装飾品を身につけていたり、高価な布で作られた服を着ている。
 何枚もの羊皮紙を手に持って目を通している人もいる。

ユーン:(軽く辺りをうかがい。「……緊張してきた。俺なんかが受かるのかな……」頬杖をついて俯く)
少年:(かたん、と隣の席へ)隣に失礼するよ(ユーンへ声を掛けて)
ユーン:え、あ、はい(軽くおいていた荷物を引き寄せる)
少年:(必要なものをテーブルの上へ置く。動作は柔らかい)
ユーン:(「……貴族、の人……か?」と少し様子を伺いつつ)
少年:(ふとユーンを見て、テーブルの上に視線が移る)おや、鉛筆は一本しか持っていないのかい?
ユーン:え? う、うん(頷いて)
少年:そうか。では二本ほど貸そうか?(ゆったり笑って、ユーンの机のほうへ鉛筆を押し出す)
ユーン:……え?(相手のテーブルの上を見ると、鉛筆が三本。周りの机も見ても、複数本用意してる人が多い)あ……。必要なん…ですか?
少年:必ず必要というわけではないけれど。予備かな。結構緊張していると折ってしまったり落としてしまったり、不測の事態がね。
ユーン:ああ…(納得して)え、でも、あなたが用意してきたものを借りるわけには……。
少年:いや、僕はまだ持っているし。三本あれば十分だよ。
ユーン:そう……ですか?(貸してもらった鉛筆を見て「……確かに……あるのは助かる……」)
少年:うん。それに、借りてくれるとこちらも少し嬉しいんだ(笑って)
ユーン:…はぁ…(きょとんとしてから)では、お借りします。ありがとうございます(頭を下げて)
少年:ううん。たいしたことではないから(微笑み)

 その時、靴音がして、教官らしき人が教室へ入ってきた。

ユーン:(息を呑み)
教官:(カツカツと教室の前に立ち、教壇へ手をついて)これより入学試験を始める。受験証と筆記用具を机の上に出し、他の要らないものは──
少年:始まるみたいだね。お互いがんばろう(ゆったりと微笑んで)
ユーン:あ、はい(頷いて。緊張した面持ちで前を見た)

教官:では、試験開始!

──数十分後──

教官:試験終了。鉛筆を置いて、全員のテストを回収するまで、その場を動かないように。
ユーン:(息を吐いて「やれるだけやった……」)
少年:(ふぅ、と息を吐いて)

教官:確認が済んだ。それでは解散。結果は規定の日に学院前に張り出すのでそれを見るように(淡々と言って)

 ざわざわと話をしながら周りが解散を始める。

ユーン:(借りた鉛筆を差し出して)ありがとうございます。おかげで助かりました。
少年:ああ(少し笑って、受け取る)よかったよ。役に立ったみたいで。
ユーン:はい(頷いて)まさか本当に落とすとは思っていなくて……借りてなかったら、危なかったです。
少年:そういう情報を手に入れるのも、ある程度コネとかが必要だからね(苦笑して)うん、本当に良かった。
ユーン:そうなんですか……(「コネがある、ということなのか?」と少し思ってから)あ、名前を教えてもらっても──
少年:(遮って)自己紹介は入学式のときにしよう。……お互い、よい結果になるといいね(にこりとして、立ち上がる)
ユーン:え……あ、はい(頷くしかなくて)
少年:(立ち去っていく)
ユーン:(見送って)……(首をかしげつつ、こちらも立ち上がった)

──学院・廊下──

:ああ? じゃあオレが出来なかったとでも言いたいのか!?
:やる気のない奴が受かるほど、ここの入学試験は簡単ではない。どうせ普段から勉強もしていないくせに(冷たく言い放ち)
ユーン:(「な、何だ?」と、廊下に出るなりの大声に驚いてそちらを見る)
少年:っけ。確かに勉強なんてクソくらえだけどなぁ、てめぇに負ける気はねーよ!
少年:(冷笑して)ふん。僕に勝てると思っているのか? 自分の実力を知ることだな。
少年:てめぇ!!(掴みかかる)
ユーン:……(「片方はさっきの……。大丈夫、か……?」一発触発の雰囲気に思わず様子を見る)
少年:そうやってお前はすぐ暴力に訴える。だから僕はお前が嫌いなんだ(ばしっと掴みかかられた手を叩いて)
少年:(歯噛みするも、放り出すように手を放して、ポケットに手を突っ込み)っは。てめぇに構ってるほうが馬鹿だった(ずかずかと立ち去る)
少年:(息を吐いてタイを直し──ふと周りに見られていることに気が吐いて)騒がせて失礼した。それでは(会釈してすたすた去る)

ユーン:…………(「……色々な人がいるんだな、本当に……」)

入学試験


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